QSE

粒子ビーム工学講座
粒子ビームシステム工学分野 (松山・菊池 研究室)

研究の最前線から
医学、工学、生物学、考古学など、
応用範囲の広さで期待される粒子ビーム分析

粒子ビームを用いた先進分析技術の研究開発を推進

 加速器を使って発生させた荷電粒子を試料にぶつけると、その物質固有のX線が出てきます。これにより試料に含まれるNaからウランまでの元素を、簡単かつ破壊することなくppm以上の感度で簡単に分析できる技術が、粒子ビーム分析(PI XE)です。本研究室では、細胞内の元素の分布を画像化できるマイクロPIXEカメラや細胞のCT画像を撮ることができるミクロンCTなど、粒子ビームを用いた先進工学の研究開発に取り組んでいます。

 粒子ビームは、元素分析や新しい材料、機能材料をつくる際に活用されていますが、その技術の応用範囲は工学、環境、医療、考古学など、幅広い分野で利用されています。

研究の最前線から

マイクロPIXEカメラで得られた細胞の元素分布画像

マイクロからナノレベルへさらなる高空間解像能をめざす

 光学顕微鏡と粒子ビームとでは、見える世界がまったく異なります。物質や細胞そのものの姿を見る光学顕微鏡に対し、粒子ビームでは元素の分布、すなわち目に見えない世界を見ることができます。

 今から40年ほど前までは、単に粒子ビームをあてて解析していたものが、現在はビームを操作することによって元素の空間分布が得られるようになり、それを画像化できるようになりました。さらに、ビームの照射範囲をマイクロメーター以下の径で物質の表面上を走査することによって、60μm×60μm(1μmは1000分の1mm)という極微小領域の空間分解能で、微小領域の元素分布の画像が得られるようになりました。この原理に基づいた分析装置が、マイクロPIXEカメラで、現在、ナノレベルでの高精度化をめざしています。

 マイクロビーム研究を世界的にリードする松山准教授のもと、本研究室ではマイクロビーム、ナノビームの技術開発およびその応用研究を推進しています。主な研究テーマとしては、粒子ビームをマイクロレベルからナノレベルムへ精緻化するための技術開発。マイクロ・ナノビームを用いたビーム分析技術、マイクロPIXE・ミクロンCTの開発と応用、ならびに材料加工技術の開発。サブミリPIXEカメラの医学・生物学・植物学・環境科学・考古学への応用。量子エネルギー工学の基幹技術である放射線計測技術の高度化による原子力・地球環境浄化・医療技術への応用などがあります。

研究の最前線から

青葉城で出土した漆器をサブミリPIXEカメラで撮った水銀の分布画像。

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